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 息子は難しい顔をしてむうと唸る。私は視線を落として木の下に生えている草木を指さした。 「木の下に木よりも低い草木が生えているでしょう。昨日の大雨が直に当たればそれこそ危ない。だから大きい木が庇っているのです」 「大きい木は平気なのかい? 大きい木も雨風に煽られてさぞ苦しいでしょう」 「時折痛い雨もあるでしょうね。それでも下の草木よりは幹もしっかりとして丈夫に育っています。この大きな木もいろいろなものに助けられてここまで大きくなったのです。だから今度はこの木が下の草木を守る番。適量まで溜めた雫を乳飲み子に乳をやるようにそっと落とすのです」  ほお、と息子は感心した。
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