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「この木は草木のおっ母さんだったのか。それは凄い。では」  そう言って息子は屈み、一番背の低い草の葉をめくった。 「この葉についている雫は誰のための雫なのですか?」  私は微笑して息子の隣にしゃがむ。 「もしかすると、この土の下に新たな命が宿っているのかもしれないね」  それを聞いた息子は嬉しそうに笑った。二人で笑っていると頭頂部や鼻の頭にポツポツと冷たい雨が刺さる。  空を仰ぎ見ると、白い雲から柔らかな雨が降り注いでいた。  天から地上に捧げられた雫だった。
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