今日、離婚届に判を押す

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 十年付き合っていた大地が夫になったのは四年前、二十八歳の時だった。十代の終盤から二十代の終盤まで全てに彼氏としてその存在があって、三十代以降は夫として、生涯私の隣には大地がいるのだと信じて疑わなかった。お互いもう知らない部分などないと思うくらい一緒に過ごしてきて、他の相手なんて考えられないくらいしっくりきていて、刺激はないけれど結婚は生活だと考えれば穏やなこの関係がベストなのだと思っていた。  けれどどれだけ長い間付き合っていても、一緒に暮らさなければ見えてこない部分があると知ったのは新居に越してすぐ、それこそ結婚式が終わってまだほんの一カ月の頃だった。
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