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大地も私と同じように、この不毛な争いにもいつか終わる日がやってきて、付き合っていたころのように軽快な会話をする日々がまた戻ってくると思っていたらしい。珍しく穏やかに過ぎた休日の午後、二人でソファーに寄り添いながら、大地がはやく普通に戻りたいねと言っていた。なんだやっぱりそういうことよね、今は慣れないことに戸惑っているけど、私たちは大丈夫、そう信じていたのに、一番大事なことを見落としていた。私たちはとてもよく似た思考を持っていて、二人とも、いつか相手が自分に合わせてくれると思い込んでいた。おかげでいつまでたっても、妥協もすり合わせもできなかった。
「合わない、根本的に、絶望的に合わない」
「合わせる気がないんでしょ」
「あっちがね。こっちが一度でも合わせてみなよ、あいつ絶対に全部自分の良いように仕切ろうとするわよ」
「間を取れないわけ?」
「無理無理、あいつの中に妥協という文字は存在しない」
「お互いさまなんじゃないの?」
「私は歩み寄ろうとしてるわよ、でもあっちは歩み寄りじゃ満足しないの。本当何様のつもりなんだか」
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