反逆者

3/3
前へ
/4ページ
次へ
「私は!美味しい物が食べたいんだよ!!」 そう言った私を横目で見た亜絵里(あえり)は抑揚の無い声で言った。 「別にいいじゃない。培養肉や培養卵だって美味しいし。」 「それは亜絵里が本当に美味しい物を食べたことが無いからでしょ!」 そう言った瞬間、空気にヒビが入ったように亜絵里のオーラが硬くなった。 「なに?金持ちマウント取るわけ?」 「そ、そうじゃなくて…」 「おかしいでしょ!そうじゃなかったら何なのよ!?」 急に抑揚のついた亜絵里の声に私はクスクスと笑い出す。 「何よ、急に。気持ち悪いわね。」 「いやっハハッ、急に元気になったなぁってハハハッ。」 「ちょっと。私怒ってるのよ?なに笑ってるのよ。」 何だか笑いがじわじわと込み上げてきて笑いが止まらない。 これがいわゆる『じわる』って奴か、 なんて言ったら亜絵里に古っ、と言われてしまった。 と、文章にするとこんなに平和に見える景色も、一フェンス越えれば銃がバンバン撃たれる無法地帯。 その隣を私はクスクス笑いながらスクールに通っている訳である。 そのため、イラついた銃持ち(ガンソルジャー)がこちらに銃を向けてくることもないこともない。 まぁ、それ普通に違法なんだけど。しかし、そういう物騒な人を将来取り締まる為に、私たちは訓練されているのである。 「今日のカフェテリアでのAランチの飲み物、りんごジュースだってさ。」 「え!?嘘、もうそんな時期!?」 亜絵里が目を見開く。私達のスクールでは毎年一年生がりんごを栽培し、それを素手で潰すという行事が行われる。そこでりんごが潰せないと、もう一度りんごを育てて貰う事になる。まぁ、簡単に言うと留年だ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加