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反逆者
パァァン…
辺りに銃声の音が響き渡った。
俺は辺りを見回し、音の方向を探る。
後ろから気配がし、振り向いた瞬間、
「鬼さんこちら」
そう聞こえたはずの小さな呟きはまたもや銃声の音にかき消された。
視界が歪み、真っ赤な色で視界が染まる。
「ゲホッ…」
咳をする度自分のシャツが白から赤へと変化していく。
「お前は…誰…だ…」
精一杯の声を振り絞り、そう口に出す。
後ろからの声はそいつにとって意外なものであったらしく、
一瞬肩が震えたような気がした。
「あっれーおじさんまだ生きてたんだァー」
「名前?うーんそうだなァ」
先程の考えをぼんやりとした頭から消す。
銃声の犯人は狂気の笑みを浮かべて考えているポーズをとる。
ふとその顔から笑みが消え、そいつは言った。
「人気者の死神かな」
だが、その顔は言い終わった後瞬時にして元に戻った。
そして笑顔のまま続けた。
「てか、おじさんに教える筋合い無いよなァ」
またもや銃声が響き渡り、夜の闇にひと時の静寂が訪れた。
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