反逆者

2/3
前へ
/4ページ
次へ
ニュースが流れているテレビの画面には治安の悪い道路が映っている。 リポーターのお姉さんもタバコを吸う人相の悪い人たちに何度も睨まれ、縮こまっている。 朝っぱらからお姉さんも可哀想なこった。 「あいちゃーん!朝ごはんできたから早くご飯食べちゃいなさーい!」 私はあいちゃんでは無いのだが…下の階から母親の声がする。 はいはい今行きますよ。 はぁ。なんとなく返事をしてテレビを消し、一つ溜息をついて眠い目を擦りつつ階段を下る。 ん?変な音がすると思い音の出所を探すと、洗濯機だった。 ギョッとしたが、洗濯機はちゃんと作動している。 やぁ、よかった。今度は壊れてない。 黒色の前の洗濯機はなんだか揺れが激しかった割にすぐ壊れた。 万物いつか壊れるし、しゃーないと思っていたが、今考えると揺れが激しかったから壊れたのか? まぁいいんだがもう少し家に優しくして欲しかった。この家揺れてたぞ。 今日の朝ごはんは…? おー……!私の好きなベーコンエッグだ。 まぁ、本物のベーコンや卵じゃないけど。 「ちょっと愛佳。それ私の味噌汁。」 近くにあった味噌汁(もどき)を引き寄せた瞬間姉がそう言ってきた。 「あぁ、すまん。」 「いい加減にその昔の人みたいな話し方やめれば?モッサいよ」 私の眉間に皺がよる。モッサいとは。 別に話し方がどうであれ姉には関係ないだろう。 いや、関係あるのか。一応だが、一つ屋根の下。 この話し方が何かしら姉の気に触るのだとしたら変えろというのもやぶさかではない。 そんなことを味噌汁を啜りながら考える女子高生。 これが「モッサい」原因なのかもしれないと箸で豆腐をつまんで口に放り込んだ。 それが日常であり、人々は特に違和感を覚えることなく過ぎていく時の流れに身を任せている。 そう。私以外は。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加