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「サラ、クラゲに見惚れすぎだよ。それより俺のことも見てよ」
カズヤは水槽に見入っていた私の頬を優しく両手で触れると、自分の方に顔を向けさせて、甘えて拗ねるような表情を見せた。
まるで小さな男の子が駄々っ子をしているみたいに。
「あっ⋯⋯」
ドキン。胸の音が聴こえた。
目の前にいるカズヤの表情を見ているのに、また別の人のことを考えている。
「クラゲが泳ぐのをぼんやりと見ていると、不思議と落ち着くよね」
「⋯⋯うん。本当に。時間も忘れちゃいそう」
「たしか、心の癒し効果もあるらしいよ」
「⋯⋯そうなんだ」
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