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江ノ島水族館に着くと、クラス単位で列にずらっと並んで、おおまかに館内を見学した。
事前学習で学んだ魚や生き物について説明している先生の声が、遠くまで響き渡る。
水槽をよく見ようと思っても、どうせ後ろから「早く~」って押されるんだよな。
だから少し離れた場所から、あの魚食べられるのかな、なんてことを考えていた。
でも奥の方に少しだけ見えている大きな水槽が、なぜか妙に気になった。
その中でユラユラと動き続けている生き物が、何なのか知りたくなった。
並んだ列から離れてその水槽の方に歩いて行こうとしたら、「ほら、佐藤くん! こっちよ!」って、担任の秋山先生に叱られて仕方なく戻った。
大水槽に後ろ髪を引かれながら、次に向かったのはイルカのショーだった。
学年全員で見るらしく、観客の椅子がウチの学校の生徒で満席になっていた。隣のクラスの中にはサラの姿も見える。
ついさっきまでイルカショーなんて子供っぽくてやだなぁなんて思ってたけど、大きな飛沫を上げながら次々に技を繰り出すイルカの動きを見ているうちに、気付くと夢中になってそこから目が離せなくなっていた。
イルカって、すげえなぁ――。
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