第6章 距離 (5回目)

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 今日は久々のオフ日。  俺にしては珍しく10時に起きた。  普段の休日の起床時間からすると相当早い。  カーテンを勢いよく開けると、高く上がり始めた日差しが部屋に差し込んできた。   サラとは10日ぶりぐらいなのに、ずいぶんと長く会っていないような気もする。  本当の距離の遠さが、心の距離をより遠くしているのかもしれない。  リモコンでテレビをつけたと同時に、スマートフォンの着信音が鳴り出した。  「おはよう~、和也。急で悪いんだけどさ、今日一つ取材入っちゃったから、一時間後にそっちに迎えに行くね。間に合う?」   一方的に用件だけを早口でまくし立てるマネージャーからの電話だった。  疑問形で訊いてくるくせに、最初から選択の余地はない。まぁ、いつも通りだが。   サラとの約束までに間に合えばいいが。  14時にサラの自宅へ行く約束だった。  それまでに何としてでも間に合わせたい。 
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