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《 1998年12月 》
和也くんと私は、学校帰りはいつも決まって、昇降口を出たすぐそこにある大きな手洗い場の前で待ち合わせをしている。
和也くんとはクラスが違っていたから、早く終わった方がここで待つという二人だけの暗黙のルールを作っていた。
どちらかと言えば、いつも私が待たせてしまう方が多い。
でも珍しく和也くんのクラスの方が遅くて、手洗い場に着いたのは私が先だった。
それから前を通り過ぎて行く他の子たちをチラチラと横目で見ていたけれど、和也くんが来る気配は一向にない。
そのすぐあとに、和也くんと同じクラスの男子集団が大声で騒ぎながらやってきたけど、その中にも和也くんの姿はなかった。
今までたった一度でも、何も言わずに和也くんが一人で帰ってしまったことはなかったから、きっと何かの用事でまだ学校に残っているんだと当たり前のように思った。
きっともう少し待てば、「ごめ~ん遅くなった~」なんて笑いながら出てくるはずだ。
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