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その次の日。
隣のクラスの廊下側に和也くんの姿を見つけて、後ろから肩を叩いた。
――ねぇ~。どうして昨日の帰り、先に帰っちゃったの。私、ずっと待ってたのに。
――なんだよ、サラこそ。俺だって待ってたんだから。いつもの所で。
――嘘つき~。いつもの手洗い場の横に座って、あやとりしてたんだよ。
――俺も座ってたよ。
――えっ?
――あっ。
ようやく私たちは気付いた。
子どもの身体をすっぽり隠すぐらいに大きな手洗い場の両脇にお互いが座っていて、相手の姿に気付けなかったことを。
――あははははっ!!!
それから二人でお腹を抱えて笑い合った。
休み時間が終わるまで。
――ごめんね。気付かなくって。
――俺も、悪い。
和也くんがいつもみたいに、頭をポンポンと優しく触ってくれる。
これが二人の仲直りの印。
そうじゃなくても時々してくれる、この仕草が私は大好きだった。
二人で笑い合っていたこの時の私は、和也くんと笑い合う日々がこれからもずっと続くと本気で信じていたのに――。
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