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「『 もう 』と仰るということは、岸本さんが思い描いていたような状況には、まだ変化していないということですね」
「むしろマイナスの状況です。この先プラスに転じるかどうかも怪しいくらいですよ」
「好転するといいですね」
「あの、前から訊いてみたかったんですが、マスターもこの経験をしたことありますか」
「私ですか。いいえ。私はここの管理者ですので。試みたことはございませんが、きっと無理ではないかと」
「そういうものなんですね」
「ええ。こういったことにも色々と規定がありまして。では岸本さん幸運を願っております。本日も日をまたぐ前にお戻り下さい」
丁寧に一礼をしたマスターは、カウンターの奥へと姿を消した。
「そうだ。急がないと」
自分が急いでいたことを思い出す。
慌てて店の奥へと向かって行った。
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