第6章 距離 (5回目)

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* 《 2010年12月19日 》    洗いたての朝の太陽の匂いがする。  朝といっても、もう10時すぎ。  カーテンのわずかな隙間から射し込んでくる平たい光が、ベッドを横切りながらじんわりと頬を温めている。  昨日はあれから心配が的中してしまった。  頭全体に激しい頭痛と火照りを感じて、頭から下の全身を悪寒が襲った。  家中の布団をかき集めてくるまって、2時間おきに来る暑さと寒さの波に身を任せて浅い眠りを行ったり来たりしながら、夜が明けるのを待っていた。  眩しい朝日を遮るように額に手を当てると、ヒンヤリと冷たくなっていた。  頭の重さもいくらかマシになっている。  カズヤは、来なかった。  一夜明けて改めてその事実に沈み込む。  当然のように次もまた会えると思い込んで、自分の気持ちに向き合う時間を先延ばしにた罰だと思った。  もう二度と会えないかもしれない不安が胸に広がって、ようやく素直な気持ちを知る。  
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