第7章 真実 (6.7回目)

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「⋯⋯もしもし、和也?」 「おはよ」 「良かった⋯⋯。やっと繋がった。あれから何度も掛けたの。でも全然電話が繋がらなくて。今日も会えなかったらどうしようって」   ため息混じりの声が潤んている。  俺の方とサラ方とでは、やはり電話は繋がらないらしい。  「電話のこともだけど、年末の約束も本当にごめん。俺、日付を勘違いしてて」 「勘違いだったんだ。良かった。何かあったんじゃないかと思って心配だったから。和也、今どこにいるの」 「すぐ近くにいるよ」 「もうすぐ着く場所にいる?」 「実はさ、ずいぶん前からマンションの下にいるんだよね。ちょっと早く着きすぎちゃったから下で待ってたんだ」 「えっ⋯⋯」   電話の向こうでガタガタっと大きな扉の音がして、それから走る息遣いが聴こえた。  「あっ、和也⋯⋯」 「えっ?」 「上見て」 
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