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東京からしばらく西へと、車を走らせる。
どこまでも雲一つない清々しい空と、張り詰めたガラスみたいに透き通った空気は、シャンと背筋が伸びる気がする。
予定よりも早くサラの自宅を出発できたからか、高速道路はガラ空きだし、目的地には思ったよりも早く着けそう。
助手席のサラの胸元にあるネックレスが、朝の日差しを浴びて、フロントガラスにチラチラと動く小さな光を作っている。
今朝、あらかじめサラと会う前に、小さな紙袋を助手席に置いておいた。
車に乗り込もうとしたサラが、その紙袋に気付いて、俺に尋ねる。
「ねぇ、和也。助手席に置いてある袋って、どかしても平気かな」
「それ、サラへのプレゼントだよ」
「えっ。私の?」
「そう。開けてみて」
サラは顔を固くしながら、袋の中にあったリボン付きの長細い小箱を丁寧に開くと、大きな目をより大きくさせた。
「ネックレス。でも、どうして」
「次の誕生日にはまだ少し早いけど、サラに似合いそうなのをちょうど見つけたから」
「すごく嬉しい。でも四つ葉のクローバーのモチーフって珍しいね。私が好きなこと、前に話したかな」
「たまたまだよ。形が可愛かったから」
「本当。とっても可愛い。ありがとう、和也。大切にする」
サラの手の中にある小箱からネックレスをすくい上げると、サラを正面から抱き締めるようにして、首の後ろで留め具を止めた。
「どう。似合うかな」
「思った通り。よく似合ってるよ」
クローバーモチーフのダイヤが、サラの身体の動きに合わせて煌めいている。
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