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「サラにしばらく会えない間に考えていたんだけど。俺たちの、これからのこと」
「うん。私もずっと考えてた。すれ違いで会えなかった日にね、カズヤと二度と会えなかったらどうしようって、不安になって、居ても立っても居られなくなった」
一言一言、言葉を大切に紡ぐように話す、サラのその言葉のあとに、少しの沈黙が、俺たち二人を包みこむ。
「もう、私、迷ったりしないから」
サラは強い意志を込めるような眼差しをこちらに向けた。
これまで一度も見たことがない、固い決意と覚悟を感じられるような目をしている。
たとえ言葉を発さなくても、目の奥の方で心に直接訴えかけてくるみたいな真っ直ぐな瞳。
たぶん、ものの1,2秒だったと思う。
視線が軽く交差をして、離れるまでに、胸を激しく鷲掴みされる。強い衝撃だった。
慌ててすぐに車線に目を戻したけれど、脳裏にはさっきのサラの眼差しの残像が、映画のワンシーンを一時停止したみたいに焼き付いて離れなかった。
「和也のことだけを信じる」
「信じてくれてありがとう。サラ」
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