第7章 真実 (6.7回目)

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 ひっそりと静まる脱衣所を抜けて、扉を開けると、そこにあったのは別世界だった。  窓から差し込む自然光が、広々とした檜風呂に張られたお湯に反射して、チラチラと光を揺らす。モクモクと湯気が上がる、熱めのお湯に身体を沈めると、身体に積もった疲れが、お湯に溶けていくような感覚がした。  周りを見回してみたが、大浴場にもその先にある露天風呂にも、人影はない。  内風呂から上がり、屋外に出ると、山の涼しい風が頬を撫でた。  少し汗を滲ませた肌を、風が通り抜ける感覚が心地よい。  新鮮な空気を大きく吸い込んだ。  それから、深緑の木々と、川のせせらぎの音に囲まれた、露天風呂に肩まで浸かった。   贅沢な時間。  こんなにのんびりした気持ちになるのは、本当に久しぶり。  お風呂上がりは、さっきの部屋で、ゆっくりと身体を休ませて。  でも、もしかしたら、そのあと――。  温泉で火照った身体が、さらに熱くなる。  「うわぁ~」   今の、和也の叫び声だよね。  隣のお風呂からかな。  「和也、そこにいる?」 「サラ? 露天風呂で滑って転んだ」 「えっ、大丈夫」 「平気平気」 「もしかして、サラの方も誰もいないの」 「そう。私だけ」 「男風呂も誰もいないから、貸切だよ」 「こんな広いお風呂に一人だなんて、少し勿体なく感じるね」 「じゃあ、俺もそっちに行こうかな」 「また、そんなこと言って」 「冗談だよ~。俺、そろそろ出るから」 「じゃあ、私も少ししたら出るね」   お風呂の向こうとこちらで恋人同士が会話している光景に、少しだけ憧れがあった。  でも、やっぱり恥ずかしい。  どうしよう――。  私、完全に舞い上がってるかも。  
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