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微笑みを作った顔を上げて、和也の方に視線を向けた瞬間に、その先で待ち構えていた熱い眼差しに、私の瞳は捕まえられてしまう。
もう、私の視線はどこにも逃げられない。
言葉なんていらなかった。
どちらからともなく、引き寄せられるように、ただお互いを求め、静かに唇を重ねた。
長く会えなかった、その隙間を埋めるように、何度も、何度も、唇を求め合う。
ふと、和也の身体が離れた。
「サラ。なぜそんな不安そうな顔をしているの。俺が怖いの」
「うんん。私にも分からないけれど、ずっと不安が付きまとっているの。和也が、どこかに消えてしまうような気がしているのかも」
「大丈夫だよ。俺はここにいる」
「⋯⋯うん」
「俺を信じて。サラを愛してる」
この出会いは、偶然なんかじゃなかった。
二人が巡り会うことは、必然だった。
これまでの私は、ずっと和也のことを、探していたのかもしれない。
そんな風にさえ、今は思える。
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