110人が本棚に入れています
本棚に追加
「たぶん、さっきサラがテレビで見たのは、間違いなく俺だったんだと思う」
「どういうことなの」
「俺はね⋯⋯10年後の未来から、サラに会うために、この時代に来たんだよ」
「えっ。未来からって⋯⋯」
「だから、俺はこの世界の人間じゃない」
みるみるうちにサラの目を潤んでいって、悲しみや驚きや呆れなど、様々な感情が入り混じった表情を見せる。
「Rainbow Starっていうグループで、10年間活動をしてる。昨日がちょうど、そのグループの、デビューが決まった日だったんだ。だから、テレビに映っていたのは、その頃の俺なんだよ」
「ちょっと待って。頭が混乱して」
「こんな話、すぐには信じられないよね。でも、本当のことなんだ」
「それなら⋯⋯なぜ私なの。テレビに出てアイドルの仕事をしているような、別世界の和也が、なぜ私に会いに来たの」
背中を冷や汗の雫が、じんわりと伝う。
とうとう、正体を教える時が来たか。
ゴクリと唾を飲み込む音が、脳内に響き、覚悟を決める――。
「サラ。よく聞いて。サラと同じ小学校で同級生だった、佐藤和也なんだ」
「えっ⋯⋯」
目を大きく見開いたサラは、自分の記憶の中から答えを探すように、目をキョロキョロとさせた。
最初のコメントを投稿しよう!