第7章 真実 (6.7回目)

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「サラを守るって、約束したよね。校庭のベンチで。あの約束、今も覚えているよ」 「でも、それなら、名前が⋯⋯」 「あぁ。サラが引っ越したあとにね、俺の両親も離婚して、中学に上がると同時に、母親の旧姓に変えたんだ。佐藤から岸本へ」   突然、何かに気付いたかのような表情をしたサラは、俺に顔を近付けて、しげしげと何かを探しているように見た。  「やっぱり。鼻の上の傷、それって」 「覚えていてくれたんだね。そう。四つ葉のクローバーを探してて、転んだときの傷」 「本当に、和也くん⋯⋯なの」 「うん、そうだよ。和也だよ」 「うそ⋯⋯」 「今まで黙っててごめん。それに、サラが引っ越した日の約束も、守れなくって」 「和也くん。ずっと、ずっと⋯⋯会いたかったんだよ」   サラは顔をくしゃくしゃにさせて、目に溜めた涙をポロポロと流しながら、俺に強く抱き付いた。  「本当にごめん、サラ。このまま正体を明かさずにいなくなる方が、サラを困らせずに済むかとも思ってた。あの頃の俺だと知って、幻滅されるのが怖かったし。最低だね」   全身を震わせながら、俺の胸の中で感情の赴くままに、サラは声を上げて泣いた。  その涙の一番の理由は、何だろう。  この時代に来たばかりの頃の俺は、サラの未来に奇跡が起こることだけを、本気で願っていた。  でもこの時代のサラと出会って、彼女の体温を直接感じているうちに、欲張りになっていったんだ。 ――もう二度と、サラと離れたくないと。 
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