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《 2011年2月13日→1999年3月25日 》
25年前の「FUTURO PASSATO」。
まるでこの店だけ、時が流れていないかのように、不思議と代わり映えがしなかった。
「この店って、いつからあるんだろう」
繋いだ手の方に目を向けると、サラはまだ、怯えた表情を浮かべている。
それから、不安な気持ちを吐き出すように、深いため息をついた。
「もうここって、過去なんだよね」
「それは自分の目で確かめた方がいいかかもしれない」
サラの手を引いて、店の外へと出た。
高層ビルが店を囲んでいる様子は、現代とも変わらないが、飲食店がまるでなかった。
カチッとした時代を感じさせるようなスーツに身を包んだ人々が、前の通りを忙しなく行き交っていて、ビジネスマン以外の人間を見つける方が難しそうだ。
「街の雰囲気は、かなり違うみたいね」
「確かここら辺って、昔は金融街だったんじゃなかったかな」
「へぇ。そうなんだ⋯⋯」
まるで田舎から出てきた、新卒の初出勤みたいに、サラは周りの景色を物珍しそうに、キョロキョロと見回していた。
「ほら、サラ。こっち」
店の前の大通りで、タクシーを捕まえてから、呆然としたまま立ち尽くすサラを呼ぶ声を掛けた。
いよいよ、過去と対峙する時が来た。
もうここまで来たら、怖気付いていたって仕方がない。
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