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「そうだよ。和也が探してくれていた、四つ葉のクローバー。なかなか見つからなかったでしょ。あれから毎日、和也が探してたの知ってたんだ。鼻に傷まで作って。でも、だんだんと申し訳なくなっちゃって、私も別の場所で、学校帰りに探してたの。私が見つければ、和也が探すのを諦めるかなって思ったから。私のために必死になって探してくれてることだけで、十分だったから。だから私が見つけたクローバーを、和也に渡したかった」
――あの日、サラが渡したいと言っていたのは、四つ葉のクローバーだったんだ。
「四つ葉のクローバーの花言葉ってね、『幸運、約束、私のものになって 』だと、本で知ったの。引っ越しても、和也に約束のことを、忘れて欲しくなかったから」
俺の意気地のなさが、想像以上に、サラを悲しませていたことを、ようやく知った。
「本当に、ごめん。俺が隠れなければ⋯⋯」
「でも、こうして時を越えて、私に会いに来てくれたから、もう許してあげる」
自分自身を長い間縛り付けていた、後悔という檻から、ようやく解放できるときが訪れたのかもしれない。
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