第8章 追憶 (9回目)

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「あの~、こんにちは。君って、瀬戸山サラちゃんだよね」   10歳のサラは、長い三つ編みを揺らしてこちらに振り向くと、たちまち眉を寄せて、怪しむような顔をした。 ――そりゃあ、そうなるだろうな。  「実は、お兄ちゃんさ、和也くんの親戚なんだけど。和也くん、さっきまで、四つ葉のクローバーを頑張って探していたみたいだけど、結局、見つからなかったんだって。それで、君に合わせる顔がないから、そこのポストに隠れて、君を見送ろうとしてるらしいんだよね」 「はい⋯⋯そうですか」 「まぁ、とにかく、二人で話してみなよ。和也は、この後ちゃんとここに来るから」   後退りをしながら、ぎこちなく10歳のサラに手を振り、そそくさと戻ってきた。  「やっぱり、俺じゃダメだね。女の子は怪しむよな」 「そうでもないかも⋯⋯。今、思い出したんだけど、あの時、知らないおじさんに声を掛けられたの。あれって、和也だったんだね」 「おじさんって⋯⋯。ほら、サラの記憶が、修正されてるじゃん!」 「本当だ⋯⋯変わったんだ」   俺の行動で、サラの記憶が変化した。  サラが考えは正しかったんだ。
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