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「あの~、こんにちは。君って、瀬戸山サラちゃんだよね」
10歳のサラは、長い三つ編みを揺らしてこちらに振り向くと、たちまち眉を寄せて、怪しむような顔をした。
――そりゃあ、そうなるだろうな。
「実は、お兄ちゃんさ、和也くんの親戚なんだけど。和也くん、さっきまで、四つ葉のクローバーを頑張って探していたみたいだけど、結局、見つからなかったんだって。それで、君に合わせる顔がないから、そこのポストに隠れて、君を見送ろうとしてるらしいんだよね」
「はい⋯⋯そうですか」
「まぁ、とにかく、二人で話してみなよ。和也は、この後ちゃんとここに来るから」
後退りをしながら、ぎこちなく10歳のサラに手を振り、そそくさと戻ってきた。
「やっぱり、俺じゃダメだね。女の子は怪しむよな」
「そうでもないかも⋯⋯。今、思い出したんだけど、あの時、知らないおじさんに声を掛けられたの。あれって、和也だったんだね」
「おじさんって⋯⋯。ほら、サラの記憶が、修正されてるじゃん!」
「本当だ⋯⋯変わったんだ」
俺の行動で、サラの記憶が変化した。
サラが考えは正しかったんだ。
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