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サラと話をしている間に、ポストに隠れていた10歳の俺が、クローバーを持つ10歳のサラに、話し掛けに行っていた。
――少女が、少年にクローバーを差し出す。
よっしゃ~。
サラと手を取り合って喜んだ。
そうだ。
サラからクローバーを渡されたんだ。
新たな記憶が、突然の雨のように湧き出す。
俺の過去も変わったのか――。
隣にいるサラは、瞳を潤ませ、10歳の俺とサラの姿を、できるだけ目に焼き付けようと、じっとその様子を見つめていた。
「⋯⋯そうだ。あれから、もう一度約束したよね。私たちが最後にした約束。和也、覚えてるかな」
この場面のシナリオも書き換えられた。
その約束の言葉を思い出して、目の前に存在する22歳のサラに、もう一度、思いを込めて伝える――。
「いつか迎えに行くから、そのときに結婚しよう。サラ」
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