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大鏡は、俺たちの心なんて知らないように、いつもと変わらない輝きを見せている。
「いいね、サラ。俺は2021年に、サラは2011年の2月13日に向かうんだよ。温泉旅行の日に戻れば、違和感なく、今までの生活に戻れるはずだから」
俯いたままのサラから、すぐに返事は返ってこなかった。少しして、力なく頷く。
俺にとって、これが最後の時間旅行になるだろう。この数ヶ月間のタイムスリップのその先に残るものは、一体何なのだろう。
絶望の先にようやく掴んだ、希望という名の一筋の光か。
それとも、万物は何かの法則によって、その宿命が決まっているという現実か。
後悔と懺悔を一生背負っていくために、俺に課された試練か。
まぁ、全てを忘れてしまえば、そんなこと関係なくなるが。
サラを助けようとして、必死に足掻いていたけれど、一人で焦って、思い上がって。
自分の無力さを、嫌という程に知った。
こんな無力な奴が、目の前で恐怖に怯えるサラにしてあげられることは、今までの生活に戻してあげることくらいだろう。
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