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「これから俺がする話を、必ず覚えてて。来月の3月11日の午後には、倒壊する可能性がある場所と、東北へは決して近付かないで。大きな災害が起こるはずだから」
「どういうこと」
「いいから、覚えておいて。あと、仕事で無理はしないって、絶対に約束して」
「だからどういう意味? 大きな災害? 仕事で無理をしないで? それだけじゃ分かんないよ!」
「お願い、サラ! ⋯⋯お願いだから」
「⋯⋯和也」
「絶対に忘れないでよ。いいね」
「重要なことなんだよね。私にとって」
「そう。とっても」
「分かった。約束する。でもこの記憶が消えちゃったら、覚えてないかもしれないけど」
理解をするように、サラは何度か頷いた。
もう二度と会えないサラの身を案じていた。
未来が変わっている保証はまだ何も無いし、この記憶も消えてしまうかもしれないけど、俺の最後の悪あがきだった。
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