第2章 遺影

24/25

111人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
 今日は「レイスタ」の冠番組の収録日。  毎週ゲストを迎えてトークをするバラエティ番組。今年で3年目を迎える。  収録予定の一時間前。  他の仕事を終えたメンバーが、徐々に楽屋に集まってくる。  俺より先に楽屋入りしていたのは、グループ内のバラエティ担当・三島智之(みしまともゆき)と、最近はグループの裏の司令塔も務める新見卓也(にいみたくや)。  最年少で天才肌の仙堂賢治(せんどうけんじ)の三人。  メイクを始めた頃に、再来年公開の大河ドラマの撮影中だというエースの竹原優人(たけはらゆうと)が、眠たそうな目を擦りながら入ってきた。 「いやマジでないわー」 「そんなこと言うなよ」  入口の方から騒がしい声が聴こえる。  伏見貴史(ふしみたかし)吉川誠(よしかわまこと)の声だ。  俺がこのグループの中の最年長。  それに続く年齢に当たるのがこの二人。  気遣いのできる優しい男だが人一倍繊細な伏見と、言葉使いは荒いが曲がったことが大嫌いな熱血漢の吉川。  この二人は対照的なようで昔から仲が良い。  デビュー前からの長い付き合いだ。  俺たち7人は個性がバラバラで、いつもは違う方向を見ているけれど、気持ちは同じ。  いつもグループの発展のために戦っている。  一人一人に大きな力はなくても、メンバーの存在によってそれぞれが強くいられる。  そんな繋がりを俺らは大事にしていた。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加