第3章 再会 (2回目)

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 どこからか硬い靴の音が規則正しく聴こえ、その音がすぐ近くでフッと消える。  勢い良く振り返ると、そこに立っていたのは岸本さんだった。  あの日と同じ笑顔を見せて。  「こんばんは。この間はどうも」   微笑んだまま頭を軽く下げた岸本さんは、なぜだか前よりも大人っぽく見えた。  髪型や服装のせいだろうか。  少しくすんだ色のブラウンのロングジャケットに、ベージュのタートルネック。  以前会った時よりも落ち着いた色味の髪は無造作に下ろしていて、そこに色気のような大人っぽさを感じるのかもしれない。  でも笑顔は前と変わらず少年のようだった。  「隣、いいかな」 「もちろん。⋯⋯どうぞ」   彼は慣れた手つきでサッと手を挙げ、前回と同じウイスキーのロックを頼んだ。  彼はウイスキーが好きなんだ。  水で割ったハイボールですら飲めない私にとって、ウイスキーは大人の飲み物というイメージが強い。  「あの、この間は迷惑をお掛けしてすみませんでした」 「迷惑だなんて。すごく楽しかったよ。普段は人に見せないサラちゃんの素顔が見られたってことは、かなりラッキーなんだね」 
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