第3章 再会 (2回目)

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「でも本当にすみませんでした」 「いいよ。それに俺の方こそ、何も言わずに帰っちゃってごめん。急いで戻らなくてはいけない都合があって。だから今日はちゃんと謝らなきゃと思って、店に寄ってみたんだ」 「急用で帰られたんですね」 「あともう一つ目的があってね」 「目的?」 「実は前回言おうと思ってたんだけど、今度俺とデートしない?」 「えっ、デートって⋯⋯」   彼の口から出た言葉を反復してみたけど、全然頭の中で処理できない。  デートってあのデートだよね。  何度も意味を考えてみる。  二人で出掛けるデートのことを指しているなら、さすがにこの展開は急すぎる。  最近流行りのドラマだって、こんなに急展開じゃないのに。  でもたぶんこんな言葉を期待して、ここで待ち続けてたのかもしれないとも思う。  こんなドラマチックな展開を。  もう一度自分に問いかけてみる。 「⋯⋯サラちゃん、大丈夫?」   肩に触れた岸本さんの手の温度に、ようやく我に返る。  
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