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私は昔から、見ず知らずの男性に対して、警戒した態度を取ることが多かった。
ひとりっ子だし、出張が多かった父ともあまり接していなかったからだと思う。
友達はみんな「知らない人に付いて行ったらダメよ!」と、口を酸っぱくして親に言われていたみたいだけど、私はお母さんから一度も言われたことがない。
元々警戒心が強いから、注意する必要がないと思われていたのかもしれない。
その警戒心のせいか、男性を一目惚れで好きになったことはないし、友達から段階を踏んで発展した恋ばかりだった。
そんな私が、彼と初めて会った日にときめきを感じた。
「惹かれる」という感情が分からないから、今まで経験したものと照らし合わせてみたけど、これまでの人生には見つからなかった。
これが一目惚れって言うもの?
この感情に名前が付けられなくても、岸本さんをもっと知りたいことだけはハッキリと分かっていた。
「岸本さんのこと、もっと知りたいです」
「いいよ。全部教えてあげる」
「全部⋯⋯?」
また胸が高鳴る。
どうしようコントロールが効かない。
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