第3章 再会 (2回目)

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 私は昔から、見ず知らずの男性に対して、警戒した態度を取ることが多かった。  ひとりっ子だし、出張が多かった父ともあまり接していなかったからだと思う。  友達はみんな「知らない人に付いて行ったらダメよ!」と、口を酸っぱくして親に言われていたみたいだけど、私はお母さんから一度も言われたことがない。  元々警戒心が強いから、注意する必要がないと思われていたのかもしれない。  その警戒心のせいか、男性を一目惚れで好きになったことはないし、友達から段階を踏んで発展した恋ばかりだった。  そんな私が、彼と初めて会った日にときめきを感じた。 「惹かれる」という感情が分からないから、今まで経験したものと照らし合わせてみたけど、これまでの人生には見つからなかった。  これが一目惚れって言うもの?  この感情に名前が付けられなくても、岸本さんをもっと知りたいことだけはハッキリと分かっていた。  「岸本さんのこと、もっと知りたいです」 「いいよ。全部教えてあげる」 「全部⋯⋯?」  また胸が高鳴る。  どうしようコントロールが効かない。
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