第3章 再会 (2回目)

9/15

111人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
 岸本さんの手元のウイスキーグラスが作る琥珀色の影が、とっても綺麗。  周りに時間が流れていないかのような静けさが流れていた。 「岸本さん。ウイスキーお好きなんですか」 「いや、普段は何でも飲むんだけど、この店で飲んだウイスキーがすごく美味しくて、気に入っちゃったんだよね」  自分のことを話す彼は、強い視線で私を射抜くように見つめてくるのに、私の話を聞いている時は、一転してその表情がとろけそうに甘く優しい顔になる。なぜだろう。 「サラちゃんって、お酒はいける方?」 「たぶん強くはないと思います。前回ワインを3杯飲んだら、足がフラフラして」 「ワインは案外度数が高いから。そうだなぁ。イタリアのお酒だったら、アマレットって知ってる?」 「⋯⋯いえ」 「じゃあ、試してみる? マスター。アマレットをお願いできますか。それのジンジャーエール割りで」  カウンターの少し離れたところにいたマスターが、「はい」と低い抑えた声で応える。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加