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「おはよう、サラちゃん。しばらく待たせちゃったね」
目尻にシワまで作って子供みたいに笑う。
やっぱりこの笑顔が好き。
今日の岸本さんは前よりも若く感じた。
目の輝き?
それとも肌の感じ?
きっと些細な違いかもしれない。
会う度に雰囲気が違う。
どれが本当の岸本さんなんだろう。
もっと彼のことを知りたいと思う気持ちは、初めて読む本のページを捲るみたいなワクワク感があった。
「おはようございます。岸本さん、いつからここにいたんですか」
もしかして独り言まで見られちゃったかな。
「サラちゃんがあの店に着いたと同時ぐらいかな。でも待ってる様子がめちゃめちゃ可愛かったから見惚れちゃってたよ」
「えっ。最初から全部見てたんですか!」
唇を突き出して怒っているような態度を取ったけど、内心は恥ずかしさ半分、ニヤけちゃうくらいの嬉しさ半分だった。
可愛い、ってさり気なく言ってくれた。
高鳴る胸のときめきが岸本さんにバレてしまわないかとヒヤヒヤした。
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