111人が本棚に入れています
本棚に追加
ドキン。
これまでで一番の胸の高鳴りを覚える。
やだ。どうしよう――。
胸に溜まった熱いものが込み上げてくる。
もう理性だけでは止められない「好き」という衝動が、すぐそこまで迫ってくる音が聴こえた気がした。
彼の新たな一面がまた知れた。
でも嬉しい半面、少し怖い。
新しい彼を一つ知るたびに、好きだという気持ちが加速してしまう。
もうそろそろブレーキを踏まなければ止まれなくなるのを、直感的に感じていた。
♪「愛してる」なんて言わなくていい
その先の「さよなら」が聴こえてしまうから
眩しくて苦しい笑顔を向けなくてもいい
わたしより似合う誰かに見せてあげてよ
ラジオから流れてくる曲。
女性歌手が歌うミディアムバラード。
今の私の気持ちにピッタリだった。
「苦しくて、切ない曲。愛しているのに別れなければならないのなら、いっそのこと、何も言わずに姿を消してくれたらいいのに。でもたぶん、その人のことを二度と忘れられないだろうな⋯⋯」
最初のコメントを投稿しよう!