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「フェアリーパークって、来年開園30周年なんですって。幼い頃からこの遊園地が大好きで、誕生日には毎年必ず遊びに来ていたんです」
「そうだったね⋯⋯」
「えっ」
「いや、なんでもない」
危ない、危ない。
少しでも気を抜いていると、うっかり余計なことまで口を滑らしてしまいそうだ。
サラがこの遊園地を好きなことは、もちろん昔から知っている。
毎年誕生日の時期になると決まって「今度のお休みにフェアリーパークに行くんだ! いいでしょ~」と、上機嫌に話していた。
だからこそサラとのデートはこの場所でななくてはならない。
遊園地デートだなんて俺の柄じゃないけど。
幼い頃、ひそかに思っていた――。
いつかこの場所に俺がサラを連れてきてあげたいと。ただサラの喜ぶ顔が見たかった。
だから今日のデートは、長年胸に秘めていた思いを実現するためでもあった。
そして今まさに隣にはその眩しい笑顔が、奇跡のように存在している。
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