第4章 祈り (3回目)

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「あっ、フェアリーだ!」   少し離れた場所に人だかりが見える。  人々の隙間に、チラチラとピンクのものが見え隠れしている。 「フェアリー」とはフェアリーパークのメインマスコットキャラクターで、赤、水色、紫、橙、桃色、黄色、緑色の妖精。  たまたま俺たちのグループのメンバーカラーと同じ色だから記憶に残っている。  開園直後に大広場にキャラクターたちが一斉に出てきて、一緒に写真に撮ることができる。  だから人だかりができているようだ。  確かサラは桃色の妖精が好きだったんじゃなかったかな――。  「岸本さん、お願いします! フェアリーと一緒に写真撮ってもいいですか」   サラは訴えかけるような目で手を合わせた。  昔もよく使っていた常套手段。  そんな顔をされたら断われなくなる。  俺はこの目にめちゃめちゃ弱い。  「いいよ」   こういうところも全く変っていない。  無邪気というか、天真爛漫というか。  「本当ですか! じゃあ、早く列に並びましょ」  サラはステップを踏むような足取りで、人だかりの方へと向かって行った。
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