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俺の近くにいた高校生くらいの女の子たち4人組のグループが、俺の方をチラチラと見ながら何やらコソコソと話をしている。
何度も遭遇している光景だから、なんとなくその視線の雰囲気だけで分かる。
ヤバい。こちらの正体がバレたか。
ジャケットのポケットの中のサングラスを取り出して掛けると、さりげなく女の子たちに背を向けて俯く。
その動きはものの数秒だった。
もはや20年近く訓練してきた技と言えるかもしれない。危険察知能力と俊敏な動きは、仕事を始めてから身につけた技だ。
スマートフォンを見ている振りをしてしばらく様子を伺っていると、いつの間に女の子たちの姿は消えていた。
やはりこの時代も油断はできないか。
「岸本さん~。こっちです~!」
フェアリーと写真を撮る列に並んで大きく手を振るサラの声が、辺りに響き渡っている。
その声に振り返る人までいた。
また変な汗が背中を滴り落ちる。
念のためにサングラスを持ってきておいて良かった。色んな意味で。
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