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絶叫系が苦手なサラが乗れるようなものをいくつか乗った。観覧車やメリーゴーランド、ゴーカートなんかを。
サラはいつもよりテンションが高く、子供みたいに目を輝かせて人懐っこい笑顔を見せた。
そんなサラを見ているだけで、俺の心は満ち足りていた。
――でもこの笑顔は「俺の現実世界」には存在しないんだよな。
フェアリーパークの存在自体が非日常の空間だけど、俺にとってここに見えている全てのものが虚構に過ぎず、実際に存在しているのかすらも分からない。
手を伸ばせばすぐに届く距離にあるのに。
この場所で何ができるのだろう。
サラと普通に過ごしているだけじゃ、ダメなのかもしれない。
ここに来ていることそのものが、かなり大きな変化のはずなのに、それだけじゃ何かが足りないってことだろう。
きっと考えているよりもっと、何か大事な役目があってこの場所に来ているはずなんだ。まずは早くその役目を見つけないと。
だがここに来たのは、間違いなく自分の意思だった。
だから来ない選択肢だって選べたはずだ。
何かの力によって導かれているとしたら。
それなら焦らなくたって、答えは向こうからやって来るのではないだろうか。
まるで人生みたいだな――。
何のために、この場所に生まれたのかと、誰かに問われているような。
――自分の意思か?
――何かに導かれたのか?
どう考えるかは生き方次第ってことか。
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