第4章 祈り (3回目)

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 水面に浮かぶ小舟に乗り込むと、さっきまではしゃいでいたサラの言葉が途切れた。  そして何かを思うように黙って空を見上げている。  サラの横顔越しの空は、橙色と金色が溶け合った色に染まる。  その光を落とす水面の揺らぎは、見惚れてしまうほどに美しかった。  「平行線上」にいるサラと、こうして同じ空を見上げていることは奇跡なんだ。  いや。それを言うなら、サラと同じ時代に生まれて同じ時を過ごし、彼女を好きになる確率の方がさらに奇跡に近い。  いくつもの奇跡が重なって俺たちの運命が導かれているのなら、なぜこんな形の困難を与えるのだろうか。  みるみるうちに色を濃くして行く夕陽は、まるで「最後まで諦めずに命を燃やせ」と、俺たちに強く訴えかけているように感じられた。  誰かからのメッセージのように。  俺にしかできないことをやらなければ。  サラの運命は――。  胸騒ぎがこれまでよりも大きくうねり出し、居ても立っても居られなくなった。  
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