第4章 祈り (3回目)

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 小舟に乗っていたときよりもさらに暗闇が広がり、今日が終わる物悲しい空気を感じ始めたころ、夜空に色とりどりの花火が上がった。  天高くまで上がり、大きな音をさせて火花が頭上に花開く。  音楽に合わせた眩い光が、次々と破裂音をさせながら開いていった。  鮮やかに瞬いて火花を散らし、たちまち暗闇に儚く消えていく。  辺りに火薬の匂いだけを残して――。  美しく、物寂しいその花たちを、二人で見つめていた。  水路に等間隔に並ぶ温かみのある色をしたアンティークな街灯が、レンガ道や周りの建物を穏やかに照らしている。  街灯の明かりと花火のコントラストは、そこにいる全ての人々の心を奪っていた。  「キレイ⋯⋯」   サラがため息を漏らすように呟く。  無防備なサラの指先にそっと触れると、一瞬ビクッと震え、動きを止めた。  その隙に手を滑り込ませ、指を絡める。  柔らかくて小さいサラの手は、夜風に吹かれて冷え切っていた。  その手を温めるようにしっかり握ると、サラもギュッと握り返してくれる。  俺たちはちゃんと繋がっているんだ。
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