第4章 祈り (3回目)

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 視線は次々と上がる花火を追っているのに、全ての意識は繋いだ手に向けられていた。  俺の体温が徐々にサラの手に移り、二人の温度が混ざり合う。  愛しい温もりを感じながら、ここにいる実感を強く噛み締めていた。 「初めて会ったときからずっと好きだった」   花火の大きな音にかき消されないように、サラの耳元で囁く。  その横顔から表情の変化は読み取れない。  本の隙間にしおりを挟むような、一瞬の沈黙に包まれる。  サラは目線を少し落とし、返事をするように繋いだ手を強く握り返した。  それから、俯いたまま無言で小さくコクンと頷く。  この小さな手を二度と離したくない。  もう絶対に。  あの日、この手を離してはいけなかった。  自分に自信が持てなくて臆病だったばかりに、逃げ出すことしか考えられなかった。  もう同じことを決して繰り返さない。  
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