第4章 祈り (3回目)

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 泣いているサラの隣に本を置く。  それに気付いた彼女が、少し顔を上げた。 ――はい、これ。大事な本なんだよね。 ――うん。⋯⋯ありがとう。 ――アイツら、いつもこんなことしてくるの。 ――たまにされる⋯⋯。 ――そんじゃあさ、またいじわるされるようなことがあったら、今度は俺に言えよ。サラのこと守るから。俺、約束するよ。   もちろん俺は本気だった。  サラを守りたかった。  彼女を悲しませる奴が許せなかった。  だが初めはあまり深く考えもせずに「守る」だなんて口にしたんだと思う。  サラに良く思われたい一心で。  それまで気を引こうと話し掛けてみても、一言二言、言葉を交わすだけで、会話が長く続くことはなかった。  サラの心の扉は固く閉ざされていた。  だがどうしてか、クラスメイトの和田や川崎と一緒のときは、良く喋っているのを見掛けるし、別人のように明るく振舞っている。  だから俺は嫌われているんだと思っていた。  だがその予想も間違っていた。  サラは極度の人見知りだったんだ。  仲の良い友達なら平気で話せるのに、知らない奴とは会話が弾まない。  素っ気ないのは俺に対してだけじゃなかったんだと知った。だからこそ、サラと仲良くなるきっかけを探していた。 
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