111人が本棚に入れています
本棚に追加
***
《 2020年11月14日 》
俺たちのグループ「RainbowStar」のレギュラーラジオ番組の収録日。
スケジュールの関係もあって、メンバーの中から2,3人ずつ収録することも多い。
収録が終わってスタジオから控え室へ戻る途中で、後ろから名前を呼ばれる。
「和也。今日ってこれで終わり?」
声を掛けてきたのは新見だった。
「このあと、別の収録が入ってるけど」
「そっか。いや、何もなかったら、たまには帰りに一杯なんてどうかなと思ってさ。個人的に話したいこともあったし。そんじゃ、またにするわ」
「どうした。何系の話? 新見が飲みに誘ってくるなんて珍しい」
「ほら、ここんとこ、和也が浮かない顔してんなって思ってたから。大丈夫か。なんか溜め込んでんじゃないの」
「あぁ、多少ね。まぁ、俺の頑張り次第で解決することでもないからさ」
「そっか。じゃあ、また近々ゆっくりと」
「あぁ」
新見と仙堂は1歳違いでグループの中でも若い方だから弟扱いされることも昔は多かったが、最近はライブの仕切りも安心して任せられるようになってきた。
だがいまだに、兄貴や親目線で見る癖が抜けきれない。
最初のコメントを投稿しよう!