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「あれ~。和也ってフェアリーパークとか、興味あったっけ」
遅れて控え室に入ってきたメンバーの仙堂が、後ろから声を掛けた。
「いや、別にそうじゃないけど⋯⋯」
「だよねぇ~。俺この間、この新しくできたアトラクションに後輩たちと何人かで乗りに行ってきたんだけど、めちゃめちゃ楽しくて最高だったよ! 和也、知ってる?」
今まさにテレビで紹介されているアトラクションを仙堂は指差している。
確か、昨日はこんなのはなかったような。
そうか。あるわけないのか。
まだあの時代には作られていない。
「いや、知らない。って言うかさ、遊園地に遊びに行ったら人に囲まれるだろ」
「やっぱりそう思うでしょ。でもこれが、案外平気なんだよね~。まぁなるべくは、人の少ない平日の夜に行くようにしてるけど。時々無性に行きたくなるんだよね~。非日常体験ってドキドキするからさ」
「いやぁ、俺はそこまでして行きたくはないな。ほら、火のない所に煙は立たないってよく言うだろ。変な勘違いをされるリスクが少しでもあるなら、やっぱり嫌だし。仙堂、分かってるとは思うけどマジで気をつけろよ」
俺と仙堂から少し離れたソファーに座って身支度をしていた新見が口を挟む。
あいつも俺と同じ考えらしい。
「周りに迷惑が掛からないように、上手くやってるから大丈夫だよ」
新見も仙堂も、普段から十分に配慮しながら行動しているとは思う。グループを大切に思う気持ちは、みんな同じだから。
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