いつもの半日

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しかし午前中の授業で(くだん)の人物を見かけることはなく、いつもの一日が過ぎていく。 45分のお昼休み。 いつものように愛夏と一緒にお弁当を食べ、食後に売店にジュースを買いに行くルーティンを消化していた。 売店から校舎に戻る通路から中庭が見えるのだが、そこを通る私服の見慣れない部外者が目に止まった。 「あ……愛夏ちゃん、あれ……」 小声で中庭を指差しながら愛夏に視線を向けるよう促す。 「お。誰だろ…」 「ね……先生に報告したほうがいいんじゃない?」 「え、でも許可なく入れないじゃんうちの高校」 だから大丈夫な人なんじゃないの、と愛夏は伝えたいらしい。 「それは、そうだけど……」 正門には当然防犯カメラもついていて警備員が常に監視しているし、所用がある人間はインターホンで誰何され用件を問われる。 そして校員が迎えて初めて校内に足を運べるのだ。 それが単独で歩き回っている。 怪しいことこの上ない。 「やっぱり、私先生に言ってくる。愛夏ちゃん、見張ってて!」 言うが早いか、走ってはいけない廊下をパタパタと駆け抜け、職員室前まで来ると呼吸を整えることもなく、ノックして引き戸を開く。 「2ーA  谷川里奈入ります!」 名乗ってから手近な先生にさきほどの人物のことを告げた。
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