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勉強以外何もしてこなかった。
彼女は続ける。
「あまりに追い込みすぎたせいでお母さんは心配になったみたい。
私に全て打ち明けたの。…残酷よね?
私はやればできる子だった。
お母さんも予想外だったみたい。」
俺は彼女に視線を戻した。
「未来の記憶は…?」
「その記憶は義務教育終了とともに消える。
この時代は大学まで義務教育が続くから、記憶が消える時にはもう自立しなくてはならない大人になっているの。
勉強以外何もしてこなかった、未来に帰れると信じていた幼い大人になっているのよ。
本当に、ひどすぎると思わない?
馬鹿らしい。」
彼女はすごく悲しそうに笑う。こんなにも悲しそうな笑い方は見たことがなかった。
今度は、しっかりと彼女を見つめる。
「なんで俺に教えてくれたの?」
「あんたは周りの子達をいつも上から見ていた。自分の方が優れているって。私とそっくりだったのよ。」
「他にもいるの…そういう騙されている子は?」
「いるわ。各クラス1人くらいの割合でいる。ひどい親が多すぎる。」
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