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家に着いて和室に行った。まだ小人は円を描いて痙攣を起こした小人を取り囲んでいた。愛花はダッフルコートを脱いで清水さんちの小人を畳の上に降ろした。神妙な顔をして診察を始める。
「やっぱり飲みすぎだ。愛花さん、スポーツドリンクと薬をお用意してくれる?」
「うん、分かった」
愛花はキッチンへ行って包丁の背で薬を叩いて粉々にした。ペットボトルの蓋に飲み物を入れる。和室に戻って痙攣していた小人の頬を叩くと真っ青な顔で身体を起こした。
「祝日だからってお酒の飲みすぎだよ。スポーツドリンクと薬を飲んで」
小人は言われた通りにした。愛花は優しい眼差しで見守った。
痙攣は一時間もすると収まった。顔色もピンクになった。愛花は胸を撫でおろした。小人は解散した。
お父さんが帰って来た。遅かったのはリカーショップに行ってからメガネを見ていたらしい。お父さんもお母さんも目が悪い。遠くのものがぼやけるんだそうだ。二人ともメガネを掛けているから普通に見えるだろうが小人は今までうまく隠れていたんだろう。
そんなことを考えていたらお母さんも帰って来た。両手にエコバックを持っている。
「昼間はピザだったから夕飯は和食にするの」
「やった。私はまた散歩に行って来るね」
清水さんの家の小人を送り届けなければいけない。愛花は連れて来たときと同じようにダッフルコートに小人を隠した。
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