小人がいました

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 愛花にはお姉ちゃんがいる。年子なのでお姉ちゃんは中学三年生だ。朱里(あかり)という名前で今日は友達の家で受験勉強をすると言って朝の九時に出かけた。今はあと十五分で十二時だ。お昼も友達の家で食べて来るのだろう。お母さんにお昼代を貰っていたのを愛花は見た。  リビングへ行くとソファーに座っていたお母さんが立ち上がった。紺色に菜の花の模様が入ったニットを着てロングスカートだ。お母さんは口角をあげる。 「お昼は炒飯(チャーハン)でも作ろうと思ったんだけど、お父さんが出前でいいっていうの。ピザでもいい?」 「あ、うん。何でもいいよ」  愛花は小人のことが気になっているので心ここにあらずだ。ピザでもパスタでも何でもいい。 「愛花はなにが食べたい?」 「トリプルのものを頼んで家族でシェアしようよ。種類は任せる。今はそんなこと考えてる余裕はないの」  お母さんは首を傾げた。お父さんは気にも留めない様子でテレビのチャンネルを変えた。ドラマの再放送が放送されている。だがテレビを観たって愛花には内容が入って来ない。小人は宴会で騒いでいるのだろうか。
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