小人がいました

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 二階に行ってグレーのニットの上にダッフルコートを着た。下はデニムパンツだ。スニーカーを履いて家を出る。美原町クリニックまでは歩いて十五分くらいだ。陽射しはあるが風が冷たい。子供が道路でスケボーをやっている。確かにこんな場所を小人が歩いたら見つかってしまうだろう。  大通りに出て交差点を渡る。見晴町クリニックに着くとやっぱり休診だった。隣の大きな家の表札に清水と書いてある。多分自宅だろう。愛花はインターホンを鳴らした。家に来たことがある太ったおじさんが玄関を開けた。 「あの、前、家に来たことがありますよね。私、風水を習い始めて、清水さんの家の物の配置を見てあげたいんです」 「風水?わざわざ家に来てくれたの?まあ上がりなさい」  酒臭い息が分かる。今日も飲んでいるのだろう。  愛花は靴が二足並んでいる玄関に入って家に上がる。よく似たお兄さんが出て来た。この人が医者だ。 「知り合いの家を回ってるんですよ。家を見せてください」  愛花がそう言うと医者のお兄さんは頷いた。 「好きに見て回っていいよ。俺たちはリビングで飲んでるから」 「それから痙攣について聞きたいんですけど」 「痙攣か。癲癇かな。友達の話?」 「いえ、ちょっとした知り合いです」  愛花がそう言うと医者のお兄さんは眉根を寄せた。赤い顔。弟と飲んでいたんだ。
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