4 クリスマスのラジオ生放送

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その後、スタッフとちょっとした打ち上げにでも行こうかと言う話になった。 時間は19時だ。 近所の居酒屋に向かう。 シノブ君もついて来ている。 スタッフの間でもシノブ君は人気のようだ。 人懐っこいキャラクターと、物腰が柔らかいからだろう。 "人たらしとは、こう言う人間のことを言う" きっとそうだな・・・なんて考えながら。 居酒屋についた。 店内は賑わっている。 四人のスタッフと僕とシノブ君だ。 座敷席に座って今日の収録について、あーでもないこーでもないと話が始まる。新しい番組の宣伝をどうやってやるのが効率がいいとか、マーケティングに合わせてしなければ ならないとか・・・。 こんな話をしている席には、いつもなら明石は必ずいる。 なのに今日はこの時間になってもまだ顔も見せない。 少し心配になって古株のスタッフに聞いてみた。 「今日明石先生来てませんでしたけど、何かトラブルでもあったんですか?」 「え?今日、来てたよ?ああーブースに入ってたから、姿見えなかったんだね〜」 「え?来てたんですか?」 「うん。10分位だけど収録の様子をこちら側の端っこで見てたよ。真ん中で見たら?って言ったんだけど、今日はちょっとバタバタするので・・・とか言って。 でも、シノブ君の出来に安心して、すぐ行っちゃったけど?」 「そうだったんですか・・・・」 確実に俺のことを避けている。 それが確信に変わった。 なんだかイラつく。 そりゃあ、嘘ついて男買いに行ったのは悪かったけど、別に付き合ってるわけでもないし!! 告られてはいるけど、答えは別に今いらないって言ってたし!!こんなに徹底的に避けられる?? この5年くらい仲良くしてたのに俺らの仲ってこんなもの??はあ!? 無性にイライラしてきた。 その様子を隣に座っていたシノブが気がついたようだった。 「吉木さん、大丈夫ですか?なんか顔赤いですけど・・・何かありました?」 「ああ。大丈夫だよ!」 思わず声を荒げてしまった。 空気が一瞬凍りついた。 それと同時にしまった!!と思った。 咄嗟に、 「な~んちゃって!」 と取り繕っては見たものの空気は元には戻らない。 その空気を読んだのか古株のスタッフが助け舟を出してくれた。 「今日はこの辺でお開きにしますか!クリスマスだし、シノブ君も予定があるかもしれないし・・」 「え〜私にもあるって言ってくださいよ〜チーフ!」 すかさず、若い女性スタッフがもう一つ、助け舟を出してくれた。 「じゃあ、そう言うわけで、とりあえず今日の生放送、無事終了という事で」 古株のスタッフが締めの言葉を言った。 スタッフがお会計を済ませている間、別のスタッフがタクシーを捕まえてくれる。 「吉木さんタクシー捕まりましたよ。乗ってく下さい!」 そう言いながらタクシーチケットをくれる。 今日はクリスマスだから、なかなかタクシーがいない。 スタッフは俺とシノブが偶然同じマンションだとは知らない。 「じゃあ、お言葉に甘えます。シノブ君も一緒に乗っけていきますよ。同じ方面だから」 そうスタッフに伝える。 「そうですね。シノブ君、今日はタクシーも少ないし吉木さんと一緒でお願いします」 そう言われて、シノブもタクシーに乗り込んできた。 「じゃあ皆さんお先に失礼します。また年明けかな?よろしくお願いします!」 そう挨拶したところでタクシーは走り出した。
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